いきのび協会ブログ

乳がん術後の「腕が上がらない」「肩が痛い」を少しでも楽にするために 機能改善体操をおススメする理由

睡眠からボディワークまで幅広く健康をサポートすることを目指して、関西で活動中の川瀬ひとみです。

病気知らずの私が、2年前胸にしこりを見つけ、病院で診てもらったところ「乳がん」でした。

そんな経験もあり、最近の私の活動として乳がんサバイバーの方のパーソナル指導やグループでの運動指導を行う機会が増えました。

そんな中でよく相談されるのが「術後、腕が上がらない、腕や肩が痛い、脇の下の違和感が気になる」ということや「リンパ浮腫にならないだろうか」という不安。

私も術後一番困ったのが「腕が痛いし、上がらない」ことでした。
手術前からかなり肩まわりを動かして調子を整えていたにもかかわらず、術後しばらくは肩より上に腕が上がらない・・・
肩より上に無理やりにでも上げようとすると、肩まわりや腕、手術した胸や背中のあたりにつっぱり感があって痛いやら、ピリピリするやら…本当につらくて泣きそうでした~。

でも、痛いからといって「動かないと余計に動けなくなる」と思っていたので、仕事仲間に見てもらいながら自分でコツコツとリハビリを重ね、4か月後にはずいぶん上がるようになりました。

下の写真は、術後間もない状態と4か月後の状態です。

スッと一気に良くなったわけではなく時間もかかりましたが、ここまで改善できたのは諦めずに動かし続けたからだと思います。

なぜ術後肩や腕に動きづらさを感じるのか

乳がんや肺がんなど胸部にメスが入るような手術や放射線治療後に「動きづらくなる」ということが起こる場合があります。(もちろん個人差があるので必ずそうなるという訳ではありません。)
原因はいろいろありますが、なぜ術後に動きづらくなるのか考えられることとして3つあげてみました。

1)痛くてジッとしていた&動かすのが怖くてジッとしていたから肩まわりが硬くなってしまった

動くと傷口が開いたり、悪化しないかな…、動きすぎて逆にリンパ浮腫にならないかな…と不安になることも多いのが術後。
その気持ち、とっても分かります。
なので、動くことをためらってしまって動かさないようにしていた、という話を聞くことがあります。
特に乳がんの術後はバストバンド(胸に巻くコルセットのようなバンド)を巻いておかないといけない時期もあったりするため、動きづらくじっとすることが多くなってしまうことも多くなるのです。

ただ、その状態がずっとではなく、バストバンドも外れて主治医から動かしていいよと許可が出たタイミングで日常生活動作をしてもOKとなります。といわれて日常生活に戻っても、やっぱりどこかで動かす怖さが抜けない。
結局、知らず知らずのうちに動かすことが少なくなってしまい、気づけば術後何か月経った後でも、腕が痛い、上がらない、脇の下の違和感が取れないという状態が続くことがあります。
これは、動かさないから筋肉が硬くなって動きにくくなってしまったということなのです。

2)姿勢が崩れてしまっている

そして、次に姿勢。痛い時、しんどい時の姿勢ってこんな感じになりませんか?

そう、いわゆる猫背のような状態。
こうなってしまうと、肩甲骨の位置が外側にずれてしまい、肩も内側に入ってしまう。いわゆる巻き肩といわれるような状態になり、本来の正しい位置からずれてしまうことで腕が上がりづらく、動きにくくなってしまうのです。

3)筋力が弱くなってしまった

腕を上げた時に、途中から反対の手でサポートすると上まであがる、という場合は肩まわりの筋力が落ちている可能性があります。

身体はいろんな意味で素直で、筋肉は使うと強くなるけれど使わないと弱くなるんですよね。
つまり、腕を動かせないことで、筋肉が使われず弱くなってしまう・・・腕を動かすのにも筋力が必要という訳です。

というように、いろいろな理由・原因があります。
筋肉が拘縮しているのか柔軟性が低下しているのか、筋力が落ちているのか、何が動きづらい理由なのかを知り、この原因を取り除いていくことができれば徐々に改善することができるという訳です。

動きづらくなった肩や腕を改善するための運動のポイント

じゃあストレッチしたり筋トレしなきゃ!と、とりあえず何でもいいから動けばいいという訳ではなく、改善するための運動にはポイントがあります。

それは、
・今の状況に合った運動を選択すること
・正しく体を動かすこと
・それを続けること
です。

いま、巷にはいろんな動画もあり、何をしていいやら分からないと迷うという声も聞きます。
果たして自分に合った運動なのかと不安になったり・・・。

そんな方にお勧めしているのが機能改善体操です。私もリハビリのために、地道に実践していた運動です。
機能改善体操は、本来のカラダの使い方を知って、その動きを取り戻していくための運動で、簡単にできて続けられる。
だからリハビリにおすすめなのです。

簡単にできる!おすすめの機能改善体操

是非試していただきたい体操をご紹介します。
すべて2~3分程度で出来るものばかりです。

  • ①ほぐし体操

肩甲骨を動かす体操です。肩まわりの緊張がほぐれるのでとっても気持ちいいです。
※ボールがなくてもできます。

② 胸の筋肉のストレッチ  

こちらはボールがあるととても気持ちよくほぐれます。  
柔らかいボールがない場合は、テニスボールなどをタオルでくるんで行ってみてください。

 

③ 腕から背中を伸ばすダイナミックなストレッチ(壁を使います)

ボールがなくてもできます。

 

 

④ テーブル拭きエクササイズ

術後腕を上げることが辛い場合は、まず手の位置を下の状態で出来るこちらのストレッチを試してみてください!

運動の注意点:いつから運動をしていいのか?

※主治医からの運動許可が下りてから、行うようにしてください。
術後1か月程度は傷が癒えていない為、腕を大きく動かすことは控えめにしましょう。
大きく動かさない①②の体操がおススメです。

是非、無理なく続けられるものから始めてみてくださいね。

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